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スーパーコンピュータ「富岳」 性能ベンチマークで世界第1位を獲得

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理化学研究所(理研)と富士通株式会社が共同で開発しているスーパーコンピュータ「富岳」(注1)は、世界のスーパーコンピュータの性能ランキングである第58回TOP500リストで第1位を獲得した。また産業利用など実際のアプリケーションでよく用いられる共役勾配法(注2) の処理速度の国際的なランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、さらに人工知能(AI)の深層学習で主に用いられる単精度や半精度演算処理に関する性能ベンチマーク「HPL-AI」においても、それぞれ世界第1位を獲得した。

 これら3部門での第1位獲得は、「富岳」の総合的な性能の高さを示すものであり、新たな価値を生み出す超スマート社会の実現を目指すSociety5.0において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処理に関する技術開発を加速するための情報基盤技術として、「富岳」が十分に対応可能であることを実証された。

スーパーコンピュータ「富岳」

「富岳」測定結果

  1. TOP500
    今回、TOP500リストに登録した「富岳」のシステムは、396筐体(152,064ノード(注3)、全体の約95.6%)の構成で、ランキングの指標となるLINPACK性能は415.53PFLOPS(ペタフロップス)、実行効率は80.87%。日本のスーパーコンピュータがTOP500で第1位を獲得するのは、「京」による2011年11月(第38回TOP500リスト)以来となる。 なお、2020年6月時点の「TOP500」のランキング第2位は、米国の「Summit」で、測定結果は148.6PFLOPS。すなわち、第2位とは約2.8倍の性能差となる。 <関連リンク>
    TOP500ランキング:https://www.top500.org/lists/top500/
    TOP500:https://www.top500.org/
  2. HPCG
    HPCGの測定には「富岳」の360筐体(138,240ノード、全体の約87%)を用い、13,400TFLOPS(テラフロップス)という高いベンチマークのスコアを達成した。これは「富岳」が、産業利用など実際のアプリケーションを非常に効率よく処理し、高い性能を発揮することを証明した。 なお、2020年6月時点の「HPCG」のランキング第2位は、米国の「Summit」で、測定結果は2,925.75TFLOPS。すなわち、第2位とは約4.6倍の性能差となった。
    <関連リンク>
    HPCGランキング:https://www.top500.org/hpcg/
    HPCG:https://www.hpcg-benchmark.org/
  3. HPL-AI
  4. * HPL-AIは、これまで倍精度演算器の能力を測定してきたTOP500やHPCGなどと異なり、人工知能計算などで活用されている単精度や半精度演算器などの能力も加味した計算性能を評価する指標として、2019年11月に制定された新たなベンチマーク。この測定には、「富岳」が持つ330筐体(126,720ノード、全体の約79.7%)を用いて1.421EFLOPS(エクサフロップス)という高いスコアを記録した。この記録は、世界で初めてHPL系ベンチマークで1エクサ(10の18乗)を達成した歴史的な快挙でもある。「富岳」の高い性能を証明するとともに、人工知能計算やビッグデータ解析の研究基盤として、Society5.0(注4)社会の推進に大いに貢献し得ることを示した。
    <関連リンク>
    HPL-AI:https://icl.bitbucket.io/hpl-ai/

注1 スーパーコンピュータ「富岳(ふがく)」: スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に、社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータとして2021年度の共用開始を目指している。
「富岳」は”富士山”の異名で、富士山の高さがスーパーコンピュータ「富岳」の性能の高さを表し、また富士山の裾野の広がりがスーパーコンピュータ「富岳」のユーザーの拡がりを意味する。また、”富士山”は海外での知名度も高く、名称として相応しいこと、さらにはスーパーコンピュータの名称は山にちなんだ名称の潮流があることなどから理研が選考した。

注2 共役勾配法: 物理現象をコンピュータでシミュレーションする場合、大規模な連立一次方程式として解くことが多い。連立一次方程式を解く方法として、解を直接求める直接法と、反復計算を行うことで正しい解に収束させていく反復法の2つがある。共役勾配法は、後者にあたる反復法の一つであり、前処理を組み合わせることにより、早く正しい解に収束させることができる。コンピュータシミュレーションの世界ではよく使われている。

注3 ノード: スーパーコンピュータにおけるオペレーティングシステムが動作できる最小の計算資源の単位。「富岳」の場合は、1つのCPU(中央演算装置)および32GiBのメモリから構成される。

注4 Society5.0: 狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。IoT(Internet of Things)、ロボット、AI(人工知能)、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会の実現を目指すこととしている。

富士通株式会社プレスリリース:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/06/22.html

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