日本メクトロン株式会社は、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(以下「SCOPE」)の下、非接触給電対応の極薄伸縮コイルアンテナを開発した。日本メクトロンの伸縮するフレキシブル基板「伸縮FPC」をベースとしており、手首等の関節部に貼り付け、曲げた状態でもNFC(近距離無線通信)アンテナとして機能する。
本開発品の特徴
このコイルアンテナは、従来の伸縮FPCの技術をベースとしながら、伸縮素材層の厚みを50μmから10μmと従来の1/5に薄型化している。補強構造を開発し、柔らかさと製品形状の保持を両立したことで、シワにも追従でき、自然な装着感を実現した。
また、従来のコネクタ接続に加えて、小型の導電性スナップボタンを組み込むことで、簡単にコイルアンテナと外部機器を接続できる(写真1・2)。

本研究開発成果と今後の展望

このコイルアンテナを手首に貼り付けた後、導電性スナップボタンを介して外部機器となるセンサ基板や無線デバイスと接続することで、センサ駆動およびセンサ取得データのワイヤレス伝送が可能になる。これによって、本研究開発「柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信」の目標の一つであった、非接触給電という条件下で、NFCアンテナとして機能する(写真3)。
実際に手首の動きによって、コイルアンテナが大きく変形し、たわんだ状態でもNFC機能が得られた(写真4)。

今回は、温度センサを用途例としているが、NFCアンテナ、およびそれによって得られる給電特性の範囲で、外部機器への換装が可能だ。また人体だけではなく、衣類、寝具やソファ、ぬいぐるみなどに組み込みが可能なバッテリーレスのIoTセンサとして、幅広い分野への応用が期待できる。