5G

2022 JAPAN IT WEEK 春

「2022 JAPAN IT WEEK 春」は2022年4月6日(水)から8日(金)の3日間の日程で東京ビッグサイトにて開催された。期間中の入場者は累計で39,173人であった。

今回は様々な課題を解決すべくブースがまとめられていた。「AI・業務自動化展」「次世代EC&店舗EXPO」「Web&デジタルマーケティングEXPO」「クラウド業務改善EXPO」「在宅・リモートワーク支援EXPO」「セールス自動化・CRM EXPO」「情報セキュリティEXPO」「システム運用自動化展」「IOT&5Gソリューション展」「組込み/エッジコンピューティング展」「ソフトウェア&アプリ開発展」「データセンター&ストレージEXPO」の12個のゾーンに分かれていた。その中で気になった企業について以下にまとめてみた。

<<AI & IOT & 5Gが拓く未来>>

サイレックス・テクノロジー株式会社

サイレックス・テクノロジー株式会社ではローカル5G通信を体験できる製品が参考出品されていた。

京都にある車を、東京の会場から遠隔操作をする。4Gの通信では最低でも5~10秒ほどのタイムラグが発生する。

今回の展示実演では京都の会場は5G接続だが、展示会場は5Gの接続ではない。それでもこのシステムを利用しての操作では、タイムラグをほとんど感じない。

その低遅延伝達を可能にしているのがこのボードである。これはいろいろな用途で利用できる可能性を感じさせるものであった。

京セラ株式会社

京セラ株式会社のブースでは「開封検知ソリューション」が参考出品されていた。

こちらのシールを段ボール等に貼り付け、在庫管理をするとともに、お客様が開封したかどうか等の確認も可能。およそ1個300円くらいのでの販売を想定している。

中部電力パワーグリッド株式会社

鉄塔×LPWAで携帯圏外エリアでの作業を見守り(参考出品)

山間部は携帯圏外エリアが少なくない。現場と通信手段がないことが作業を長期化させる一因となっている。

その問題を解決すべく、山間部の電力インフラを活かして、LPWA網を構築し、通信手段を確保することを可能にしようとする試みに着手している。

また、現場の映像をリモートで入手し、現場出向作業を効率化させるらくモニcameraサービスも同時に展示している。

どちらも中部電力パワーグリッドが自社用に開発しているものだが、同じような用途を検討している自治体等に向けての販売を開始する予定。鉄塔に設置するため各電力会社等に許可してもらう必要があるが、確実に電力を確保し、遠隔等で利用する場合に有効である。

ベストスキップ株式会社

ベストスキップは高精度のUWB位置情報システムを出展した。

ベストスキップのUWB(Ultra Wide Band=超広帯域無線通信)位置情報システムは自社独自のハードおよびソフト開発を利用されて、高精度、省電力かつ3dリアルタイム位置という特徴がある。ハードは固定機(アンカー)と移動機(タグ)が含まれている。固定機を天井や壁にWIFI機として設置して、移動機に付いた人や物の位置情報をリアルタイムで測定収集可能になる。収集された位置情報を独自開発ソフトにより蓄積・分析・可視化をすることができる。

使用シーンとして、工場・倉庫での作業員管理や安全管理、オフィス内での人員位置管理、商業施設の動線分析や施設案内誘導、老人ホームなどの福祉施設での利用者居場所確認などの実証実験や提案がある。

加賀FEI株式会社

加賀FEIは「Iot&5Gソリューション展 春」に出展して、出展品は下記加賀FEIのホームページよりご確認ください。

https://www.kagafei.com/jp/events/20220406/

LANケーブルいなくて手軽にカバーする高速メッシュWi-Fi(PicoCELA社『PCWLシリーズ』)とスマートグラスによる進化した新遠隔支援システム(サン電子、AceReal Assist)の組み合わせソリューションのところは人集めだった。

PicoCELA社『PCWLシリーズ』、ラインナップ「PCWL-0400」

PCWLシリーズはLANケーブルなしで、幅広い地域にWi-Fiサービスエリアを構築できる。機器の一台は親機器として、ルーターとLANケーブルに繋がる。そして、30~50メートルごとにPCWLシリーズ機器一台をLANケーブルなしで設置することにより、広域エリアのカバーかつ快適な電波品質を両立したWi-Fiエリアを実現できる。

PCWLシリーズはアンテナ付きでも可能となる。アンテナがあれば、機器一台がカバーできる範囲は500~800メートルに達する。

特徴の一つとしては、PicoCELAの特許技術により、従来のメッシュ方式で通信速度の低下問題を解決、中継数が増しても通信速度の低下を防ぐ。

また、多拠点を監視する専用装置の代わりに、クラウド機能により、アクセスポイントを一括管理して、運用コストなどを節約できる上、運用負荷を軽減できる。

GALA湯沢のスキー場や福岡市の天神地下街などの導入実績はある。WIFI提供のほか、位置情報をマーケティング分析にも活用している。

AceReal Assist のスマートグラス「HMT-1」
AceReal AssistとPCWLシリーズの組み合わせ

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

ATHEUSは最先端の科学技術を結集したみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社独自の人工知能。

例えば上記のディスプレイのアバターは来訪者の動きに合わせて顔を動かし、視線を合わせ、手を振ったら手を振り返すといった、自然に近い反応をすることが可能です。来訪者の動きを検出してアバター側からあいさつすることも可能。また特定の人間に反応して「〇〇さんは~」といった特定のフレーズを話すことも可能です。また、物体検出ソリューションでは、人物や車のナンバー、さらに、がん細胞等をマーキングすることが可能。

マーキングした顔やナンバーはモザイクをかけて誰だかわからないようにすることなどに使用されている。さらに、顔認証の機能に加え、5年後10年後のその人物の顔を創ることも可能。すでに警察等にデータを提出することなどで協力したことも。

次に、データセンター向けに出展されたもののうち、特に目を引いた企業についてあげよう。

<<データセンター向けの製品>>

日本フォームサービス株式会社

液浸冷却装置 ICEraQ™ の最新機種「ICEraQ Nano」

サーバー等の機器を直接冷媒オイルに浸し、冷水と熱交換をすることによりサーバーの高発熱化することを防ぐ。

耐用年数は20年。ポンプ交換も10年に一度。ファン交換だけは毎年する必要がある。

またハードディスクとファンは使用できない。ハードディスクのかわりはSSD(スリットスライドドライブ)を使用する。そうすれば冷媒オイルに浸したまま、パソコン、サーバー、を使用することが可能だ。

最近AI、IOT、VRなどの高度なテクノロジーを使用するようになり、データセンターの使用電力を押し上げている。

日本フォームサービス株式会社では『液浸冷却装置を活用した小型データセンターの実現に向けた実証実験』にてコンテナ型液浸データセンターで消費電力43%減に成功したと発表したばかりだ。今後益々の導入が期待される。

販売については、マルチベンダ対応の実績を持ち、保守点検等一括で可能な、NECネッツエスアイ株式会社(注)の取り扱いも多い。

注)NECネッツエスアイ株式会社は2021年6月21日から2021年末までKDDI株式会社、三菱重工業株式会社とともに、液浸冷却装置の活用および小型データセンターの実現に向けた実証実験を実施した。協力企業は「AMD, Inc.」 「GIGABYTE Technology」「MITAC COMPUTING TECHNOLOGY CORP.」「myProduct株式会社」「Super Micro Computer, Inc.」「Western Digital Corporation」「Wiwynn Corporation」「アリスタネットワークスジャパン合同会社」「エヌビディア合同会社」「株式会社DC ASIA」「工業技術研究院(ITRI)」「シスコシステムズ合同会社」「デル・テクノロジーズ株式会社」「日本フォームサービス株式会社」「日本ヒューレット・パッカード合同会社」「パンドウイットコーポレーション日本支社」。また、2022年4月1日から2023年2月28日まで KDDI株式会社、三菱重工業株式会社とともに、 KDDI小山TCで液浸冷却装置を試験運用し、安定性や成立性を検証する。今回の協力会社は、「ENEOSホールディングス株式会社」「GIGABYTE Technology」「Intel Corporation、MiTAC Computing Technology Corp」「Super Micro Computer, Inc.」「Western Digital Corporation」「アリスタネットワークスジャパン合同会社」「エヌビディア合同会社」「株式会社DC ASIA工業技術研究院 (ITRI)」「シスコシステムズ合同会社」「ソリダイム・ジャパン」「デル・テクノロジーズ株式会社」「日本AMD株式会社」「日本フォームサービス株式会社」「日本ヒューレット・パッカード合同会社」「パンドウイットコーポレーション日本支社」と発表している。

アイディールブレーン株式会社

IDEAL BRAINは世界一薄い免震装置「ミューソレータ」を出展した。震度7を再現する振動台を使い、免震効果を実演した。

「ミューソレータ」は2㎜のセルシートと3.2㎜の滑走プレートより構成されており、1平方メートル以内で100トンまでの荷物を強い振動から守ることが可能。地震時に病院の精密機械、会社のサーバー、美術館や博物館の貴重な展覧品、倉庫や工場の荷物ラックなどの転倒リスクを抑えることを想定している。

<<オフィスワーク、リモートワークを快適にする>>

ディヴォートソリューション株式会社

ディヴォートソリューション社は次世代のRPA「アシロボ」を出展した。

RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略称で、事業プロセス自動化技術の一種であり、単純パソコン業務を自動化/半自動化するソフトウェアロボットである。

従来のRPAとは違い、「アシロボ」には業務フロー図が不要。人間の動作手順を順番にパネルで並べるだけで、人間のように作業できる。上記の図はシステムのホーム画面を示している。左側にはすでにいろいろな動作指令をプレインストールしてある。例えば、アプリ起動、アプリ拡大、マウスの座標の読み込み、エクセルの処理、画像のurl抽出など日常仕事に必要な動きは揃ってある。右側から、作業に必要な動作を人の作業手順のように順番通りに選んで、設定したら、アシロボは自動的順番通り作業できる。もちろん、アシロボは人間のように作業するので、アシロボが作業していると、そのパソコンで同時に人間が作業することはできない。

「アシロボ」は機能豊富(下記の写真に示しているのはアシロボの機能の一部分)、習得時間短縮、業界最安値クラス(月5万円だけで、二台のパソコンでアシロボを利用可能)、各サポート無料や安全性高いなどの特徴があって、すでに国土交通省・総務省・野村証券・朝日新聞社などの官公庁や上場企業に導入された。これから、経済産業省も導入予定と言われた。

また、ディヴォートソリューションは4月20日と26日は無料製品説明&体験会を開催するので、興味がある方はディヴォートソリューションのホームページ(https://assirobo.com/news/13085.html)よりご確認ください。

RSUPPORT株式会社

RSUPPORT株式会社はリモートワークための遠隔制御「RemoteView」及び遠隔でpcやサーバーの電源を管理できる「RemoteWOL」を出展した。

システム構築のために特別な機器を導入する必要もなく、自宅からオフィスPCにリモートアクセスして、会社のpcにインストールしたソフトウェアを利用したり、社内データやサーバーを利用したりする。インタネットさえあれば、海外にでも遠隔で会社のPCにアクセスできる。さらに、RemoteViewは新機能「Webビューア」も提供している。PCにソフトウェアをインストールする必要がなく、Chrome、Safari、FirefoxなどのWebブラウザから遠隔制御が可能です。「Webビューア」により、従来よりも5倍以上早く業務を開始できるといわれている。

また、上記の図の「PC07」のように電源offの状態であれば、遠隔制御できない。このような問題を解決ために、起動した器械をつけっぱなしということを避けるために、遠隔でPCやサーバーの電源を管理できる「RemoteWOL」が提供される。「RemoteWOL」一台でPCやサーバー250台を管理できるから、会社に誰もいなくても、遠距離で効率的な管理・運用が可能となる。

展示会にて、「RemoteView」のセキュリティ機能や管理者機能なども実演した。

PCの使用状況を確認

現在「RemoteView」が14日間に無料試用できるから、興味がある方は下記のURLからお試しください。https://content.rview.com/ja/trial/

また、今回の展示会では「メタバース」というカテゴリーがないが、 「メタバース」 について展示している企業がところどころでみられた。

「メタバースビジネス最新動向」セミナーでは三井物産株式会社の押尾氏がメタバースの実例として、「海外の英語講師とオンラインで英会話教室を実施する」「e-sortsのゲームの実況配信」「メタバース内にアバターをスタッフとして派遣し、案内等をしてもらう『メタジョブ』」などを挙げた。

さらに中国の深センのメタバースでは、すでにアプリも必要ない、ブラウザだけあれば、PCでもスマホでも楽しめるようになっているということも紹介した。

メタバースに力を入れている企業をについて以下に解説する。

<<メタバース関連企業>>

株式会社ジクウ

株式会社ジクウはバーチャルイベントを3Dで簡単に開催できるソフトを出展。

自らがアバターとなり、展示会などに参加し、担当者とチャットを使ってリアルタイムで話をしたりZoomで1対1または、1対複数人で話をすることもできる。動画のセミナーを受講したりすることも可能。

また、よくある専用アプリのダウンロードも必要ない。ブラウザだけで動作できるところは非常に好感が持てる。実際に就活イベントで採用されたりもしているようである。

ブースも簡単に設営できる設計になっており、1ブース当たり15万円で4ヶ月間使用可能である。

就活だけでなく、オンライン展示会等もこれを利用すれば簡単に開催できる。

株式会社KWD

XENO MALL

XENO MALLはメタバースショッピングモールのサービスである。自分自身のアバターを操作し自由に動き回ってショッピングを楽しめる。お店ではチャット機能を使って会話しながら購入を決め、ECサイトや飲食店で実際に買い物をし、配達してもらうことも可能。株式会社KWDの物流部門による宅配を使って配送することも可能。

イベントスペースは40000円/月で出店でき(店舗イメージの製作費は別)、売り上げの25%をKWDに支払う方式だ。

2022年4月22日プレオープン。その時点では出店は4~5店舗だが、3か月以内には10~20店舗が用意される予定である。

株式会社ポケット・クエリーズ

こちらはMRやARを活用した3DCG重畳表示による設計・現場支援ツール「iVoRi XR(アイヴォリィ エックスアール) 」が体験できるようになっていた。

マイクロソフトが開発した「Microsoft HoloLens」はディスプレイに視線にあわせた現実の世界が映し出されるので、HMDをかぶっても周囲は見えたままだ。つまり、スマートグラスのように、実際に見えているものの上に映像を重ねて表示できる。

そして指先で示すことによって操作できるようになっている。

主に、建築現場やどの区、工場棟の管理を行うことを目的としており、人件費削減を目標としている。2~3人でしていた作業を一人で手ぶらでも行けるようになる。ゴーグルをかけたときに見える資料などに〇×をつけてサーバに送ることも可能。

地形に反応して情報が出てくるようにプログラムされている。似たような地形があるときにはQRコードを使って判別する。現在東京電力が変電所等で試験運用している。

1ライセンス月額1万円で、4ライセンスから契約できる。ハードウェアは別途購入する必要がある。なおゴーグルではなくiPadにリアルなCGを表示させ使用する場合は、月額9800円2ライセンスから契約できる。

なぜそんなに安くサービスを販売できるのか確認したところ、CGのパーツにはメーカーがCADで設計したデータをそのまま流し込むので、高額にならないことが多い。CADデータがない場合は高額になる場合もあるとの回答であった。

関連記事

  1. LBCT – 業界におけるパラダイムシフト
  2. ローム:マツダと今仙電機と提携し、e-Axle向けインバータを共…
  3. CATL:ヨーロッパでの2番目のバッテリー工場をハンガリーに建設…
  4. 昭和電工:異種材料接合技術「WelQuick®」を開発
  5. SKハイニックス:EUV装置を使用した1anmDRAMの量産を開…
  6. ルネサス:IOT システムの迅速な開発、試作を可能にする、モジュ…
  7. CATL(寧徳時代):第1世代のナトリウムイオン電池を発表
  8. JEITA 新年賀詞交歓会
PAGE TOP